「全ての人々は兄弟になる」―。
ベートーベンの最後の交響曲「第九」は人類愛など、希望に満ちたメッセージを世界中に送り続けてきました。この第九を日本、そしてアジアで初めて奏でたのは、第1次世界大戦中のドイツ兵捕虜でした。1918年6月1日、場所は徳島県鳴門市の板東俘虜(ふりょ)収容所。敵国の板東で、捕虜たちが第九を演奏できたのは、収容所の松江豊寿(とよひさ)所長(1872~1956年、福島県会津若松市出身)の寛大で人道的な運営方針があったからです。音楽やスポーツ、演劇などの文化活動や生産活動が認められ、収容所の外でも牧畜や製パン、建築などの技術を地元住民に伝えました。第九初演など〝板東の奇跡〟とも言える、この歴史を鳴門市は大切に受け継ぎ、毎年6月の第1日曜には第九の定期演奏会を開き、全国から集う600人の合唱団が声を合わせています。
2018年6月、初演から100年を迎えるのを前に、この史実を1人でも多くの人に知ってもらいたいと願い、私たちは2016年9月13日、ここ二子玉川で第九のフラッシュモブを行いました。
徳島新聞社
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